Honda スモールの系譜

NEW NEXT NIPPON NORIMONO

N360から始まるHonda の"N"
1967年、Hondaから発売された「N360」。Honda初の本格的量産型乗用車といわれている。名前に冠せられた「N」は「Norimono(乗り物)」の略とされており、目指したのはミニマム・トランスポーテーションの普及だった。高性能で安価なことで人気を博し、当時の軽自動車月間販売台数トップの座を、発売から数ヶ月のうちに奪取した。「N360」は発売からわずか2年足らずで25万台を販売、総生産台数は65万台に達した。1971年に後継車となる「ライフ」が発表され、1972年に生産を終了。1960年代後半の軽自動車界を牽引したのは紛れもなく「N360」であり、その技術やノウハウの蓄積が現在のHondaのスモールカーにつながっていることは間違いない。

軽乗用車からの撤退
1974年、Hondaは「ライフ」や「Z」といった当時の軽乗用車の製造を中止し、事実上の軽乗用車からの一時撤退を決めた。シビックの好調やアメリカ市場での大型バイクの好調によって製造ラインが不足したことが理由といわれている。1971年に低公害技術であるCVCCエンジンを開発。当時の低公害基準である「マスキー法」を世界で始めてクリアしたため、世界中から注目される存在となった背景がある。時代の波は、乗用車の大型化・高級化へと向かっていった時代である。

ボンネットバン黄金時代
1976年。軽自動車の規格が改定され、長さ3.20m、幅1.40m、高さ3.00m、550ccと規定された。各メーカーはエンジンの改良に苦慮し、バンパーの大型化のみで車体を拡大するなど、さまざまな方法で新規格対応車を販売した。そんな流れの中、1980年にダイハツが初代ミラを発売したことを受け、軽ボンネットバンが、税金の安さなどから急速に普及した。Hondaも、1985年に「トゥデイ」を発表。商用車以外の軽自動車への再参入となった。しかし、1989年に導入された消費税の影響で、自動車物品税が廃止され、貨物車型のメリットが小さくなり、市場は乗用車型(5ナンバー)へと大きく変化していくことになる。

Smallの火付け役、FIT登場
その後、軽自動車は数度の規格改定を経て、徐々に車体の大型化と安全性を備えていくことになる。そんな中、Hondaが発表したのが小型な普通乗用車、フィットであった。2001年6月にロゴの後継車として登場したフィットは、優れた走行性能と低燃費を両立し、コンパクトカーのベンチマークのひとつとして急速にシェアを広げていった。2002年には年間販売台数で33年間トップを守り続けたトヨタのカローラを上回りトップになった。さらに2007年には世界累計販売台数が200万台を突破。その後、2007年にフルモデルチェンジ。現在ではハイブリッド車も販売されるなど、Hondaを代表する車種として愛され続けている。フィットは従来の普通乗用車の概念を根底から覆し、新たな「スモールカー」というジャンルを形作ったクルマといえるだろう。

新たな"N"の時代へ
2012年、Hondaは新たなコンセプトのもと「Nシリーズ」として軽自動車を販売していくことを発表した。その第一弾が「N BOX」である。これは軽自動車事業の刷新に先駆けて行われたマーケティング調査で「軽ラインアップがライバルに比べ手薄であること」が指摘されたことによる。軽自動車市場の約3割を占める人気カテゴリーでありながら、既存の軽自動車ラインアップにはない「スーパーハイトワゴン」として開発。空間効率を最大限にするため、新設計の「Nシリーズ共通プラットフォーム」に加え、フィットに用いられた「センタータンクレイアウト」をHondaの軽自動車で初めて採用した。今後、Hondaは「Nシリーズ」として軽自動車を市場に投入する予定。軽自動車のさらなる進化が待たれる。